2002年(平成14年)4月6日

 「心神喪失者医療観察法案」に反対する集会決議

 政府は、殺人や傷害など重大犯罪にあたる行為をした「精神障害者」の処遇について、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」(以下「心神喪失者医療観察法案」といいます)を今通常国会で成立させようとしています。

 この「心神喪失者医療観察法案」は、重大な犯罪にあたる行為をしたにもかかわらず責任無能力による不起訴処分や無罪判決のため刑罰を受けない精神障害者について、「再犯のおそれ」を根拠とする新たな強制入通院制度を創設し、その強制入通院の要否の判断を医師だけでなく裁判官にも行わせる、というものです。

 しかし、精神障害者だけを再犯予防の対象として特別の制度を作るべき根拠はありません。「再犯のおそれ」を確実性をもって予測することは不可能であり、しかも裁判官がその判断に関与することは医療ではなく治安の観点からの判断になってしまいます。このような強制入通院制度は「治療なき拘禁」となり、無期限の予防拘禁となるおそれが極めて高いものです。また、「再犯のおそれ」を根拠とする強制通院制度は地域医療の現場に治安の観点を持ち込むことになり、かえって必要な医療から患者を遠ざけるおそれがあります。しかも、このような特別な強制入通院制度は、精神障害者にさらなる烙印を押し、偏見を助長しかねません。また、精神障害者による犯罪に限らず、犯罪被害者への配慮は重要な問題であり、充分な経済的・精神的な支援がなされるべきですが、この法案はそれを目的とするものではありません。

 今、精神障害者に対して社会がなすべきことは、自ら安心してかかれる精神科医療の実現と地域で暮らせる精神障害者福祉の充実であり、それが結果的には精神障害者による不幸な事件の減少にもつながります。そして、精神障害者と犯罪の問題は、起訴前簡易鑑定や検察官の起訴裁量、刑事施設における精神科医療などについての十分な調査・分析に基づいて、必要な改善策を検討すべきです。

 以上から、わたしたちは、「心神喪失者医療観察法案」に反対します。

以 上

「精神障害者」に対する特別立法について考える緊急市民集会参加者一同


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