◆措置入院の指定病院 3割が体制不十分

医師や看護職員不足

 2001/08/20: 大阪読売朝刊1面(東京読売2社面)

  精神保健福祉法に基づく措置入院(行政による強制入院)の患者を受け入れる全国千百五十二の病院のうち百三十一が、国の定めた医師や看護職員数の最低基準を満たしていないことが十九日、読売新聞の調査でわかった。看護体制が望ましいレベルに満たない病院も二百三十にのぼり、合わせると三割が十分な水準に達していない。刑事事件にかかわった精神障害者の処遇論議とも関連して貧弱な体制が問われそうだ。

 措置入院は、国立、都道府県立の病院と、知事が指定するその他の病院に限定。厚生労働省は▽医療法に基づく精神病床の最低基準により、医師は入院患者四十八人につき一人、有資格の看護職員が同六人につき一人以上を満たす▽隔離・拘束の判断権限を持つ精神保健指定医が複数常勤する、などを求めている。

 最低基準は五十年以上前に定められ、一般病院より低いレベルにあるため、同省は望ましい看護体制を「入院患者四人につき一人以上」としている。

 調査結果では、大学を含めた国立病院五十八のうち、医師不足が四、指定医不足が一。都道府県立では六十九のうち、医師不足が九、指定医不足が六あり、重複を除くと十二病院が基準を下回っていた。

 民間を中心とする指定病院では、全国千二十五のうち、医師不足百五、指定医不足三十三、看護職員不足三(公表しなかった群馬県を除く)。重複を除き実質百十四病院が基準割れで、医師不足が目立っている。

 看護体制が四対一に満たない病院は国立一、指定病院二百二十九で、基準割れを合わせると、実質三百五十二病院が望ましい水準に達していない。

 基準に満たない指定病院が多いのは、北海道十三、福岡九、青森、福島各七、岩手、秋田、茨城、愛媛各六、栃木、静岡、山口、徳島各五の順。看護体制四対一未満の指定病院は神奈川二十一、茨城十九、静岡十二、埼玉、大阪各十一、東京十、北海道、千葉、新潟各九で、大都市圏に多い。

 厚生労働省精神保健福祉課の話「精神科医、とくに指定医の不足が深刻だ。来年度は指定が更新されるので、要件を精査して指定病院を決める必要がある」

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