◆措置入院患者の3か月後の実地診察 都道府県など4割未実施

 2001/08/25: 大阪読売朝刊3面

 精神保健福祉法に基づく措置入院患者について、国が求めている入院三か月後の院外の精神保健指定医による実地審査(診察)を実施していないか、一部しかやっていない都道府県・政令市が四割にのぼることが読売新聞の調査でわかった。医療保護入院の患者の一部をピックアップして行う実地審査も三県が未実施で、行政の取り組みのばらつきが目立っている。

 行政による強制入院である措置入院は、六か月ごとに定期病状報告書を病院が提出し、精神医療審査会が主に書面審査で措置継続の必要性をチェック。これとは別に行政当局が年一回以上、指定医を派遣して診察する。

 しかし一九九〇年代にも各地の精神病院で患者虐待が次々に発覚。このため旧厚生省は九八年三月、病院に対する指導監督の強化の一環として、新たな措置入院は三か月後をめどに診察するよう通知した。

 ところが今回の調査では、全国五十九の都道府県・政令市のうち、宮城、秋田、群馬、埼玉、山梨、静岡、愛知、三重、滋賀、兵庫、鳥取、広島、山口、愛媛、大分、鹿児島、沖縄の各県と札幌市の十八が未実施。青森、福岡、宮崎の各県と東京都、北九州市も一部だけだった。

 未実施の理由は「指定医が多忙で確保が難しい」が多く、「三か月を超す措置患者は少ない」「今後は行いたい」との答えもあったが、「日常の医療行為を信頼している」(山口県)と実施に否定的な県もある。

 一方、医療保護入院(家族同意による強制入院)の実地審査は患者数が多いため、大半の県が病院指導の際に一部の患者を抽出して診察しているが、千葉、愛知、兵庫の各県はこれまで行わず、静岡県も年間数人だった。また、診察外の患者から院内の人権状況の聞き取りを必ず行うのは三十二府県市にとどまった。

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