平成13年12月 厚生労働省社会・援護局 障害保健福祉部精神保健福祉課 平成14年度精神保健福祉施策関係予算(案)の概要 13’予算     14’予算額  〈72,724〉      〈76,185〉 89,897百万円 → 93,254百万円 注:〈 〉は、精神保健福祉課所管予算分の再掲  障害者プランの着実な推進、精神医療の充実・強化、こころの健康づくり対策の拡充及び精神障害者社会復帰施設の運営の充実等を図るとともに、精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプサービス)の本格実施等、精神障害者に対する在宅福祉施策を拡充することにより、精神保健福祉施策の一層の推進を図る。 1.精神障害者社会復帰施設・事業等の充実       21,182百万円 → 21,766百万円 (1) 精神障害者社会復帰施設の施設・設備整備の充実 障害者プランを着実に推進するために、施設・設備整備を計画的に進めるとともに、精神障害者の社会復帰施策の充実を図る。(別添参照) ア 精神障害者社会復帰施設施設・設備整備の充実 新規 a 地元住民開放型の地域交流スペースに対する施設・設備整備費の創設  精神障害者社会復帰施設への理解を求める一環として、精神障害者地域生活支援センターを除く精神障害者社会復帰施設の設置に際し、地域住民開放型の地域交流スペースを付置する場合に必要な施設・設備を補助対象事業として追加。 新規 b 精神障害者短期入所(ショートステイ)施設を設置できる対象施設の拡大  精神障害者入所授産施設にもショートステイを設置できることとし、整備に対する補助を行う。  (2)精神障害者社会復帰施設運営費の改善      12,343百万円 → 14,537百万円  障害者プランの着実な推進を図るため、社会復帰施設の運営費の改善を行い、施設の安定した運営を確保。 ・直接処遇職員等の増員配置の充実等   指導員、事務員 各1名(生活訓練施設(一般型)、通・入所授産施設)     (3)精神障害者小規模通所授産施設運営費の助成    190百万円 → 418百万円 小規模作業所から小規模通所授産施設への移行を促進し、運営の安定化を図る。 ・補助対象箇所数    46箇所 → 86箇所  (4)精神障害者小規模作業所運営助成事業の推進    968百万円 → 968百万円 地域において運営されている小規模作業所に対し、運営費の補助を行う。 新規(5)精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査の実施     0百万円 → 87百万円  精神障害者の社会復帰に向けた各種サービス・ニーズ等を調査・分析し、今後の精神保健福祉施策のあり方を検討するうえでの基礎資料とする。 (実施主体:精神障害者社会復帰促進センター) 2.よりよい精神医療等の確保             56,136百万円 → 57,154百万円 (1)精神医療費の公費負担             46,480百万円 → 46,740百万円 措置入院費、通院医療費、医療保護入院費に係る公費負担に要する経費。 (2)精神科救急医療システム整備事業       1,292百万円 → 1,987百万円  精神障害者の緊急時における適切な医療及び保護の機会を確保するため、都道府県・指定都市の実情に応じて、輸送体制の整備、輪番制等による緊急時における保護・治療を行う救急医療のシステム体制の整備等を推進するとともに、平成14年度より、精神科救急情報センターに24時間体制の医療相談窓口を整備し、患者・家族からの医療相談に応じ、必要に応じて、精神科救急医療施設への移送等に円滑につなげる体制の充実を図る。 新規(3)精神科急性期医療等専門家養成研修事業(構造改革特別要求) 0百万円 → 43百万円  国立医療機関等の精神科医等を海外の司法精神医療施設に派遣し、急性期医療や触法精神障害者の医療について研修を行い、専門医等の養成を行う。 (4)精神科医療適正化対策費              182百万円 → 182百万円  都道府県・指定都市が支弁した措置入院者及び医療保護入院者の定期病状報告書料等の経費。 (5)更正医療・育成医療の給付            8,183百万円 → 8,203百万円  身体障害者及び身体に障害のある児童等のハンディキャップを除去、軽減するために必要な医療費の給付。 3.地域精神保健福祉施策の推進             6,350百万円 → 7,112百万円 (1) 精神障害者居宅生活支援事業の実施 平成11年の精神保健福祉法改正により法定化された精神障害者居宅介護等事業及び精神障害者短期入所事業並びに都道府県・指定都市において実施している精神障害者地域生活援助事業を平成14年度から精神障害者居宅生活支援事業として、利用者に最も身近な行政機関である市町村において一体的に実施する。 新規ア 精神障害者居宅介護等(ホームヘルプサービス)事業  日常生活を営むのに支障がある精神障害者の家庭等を訪問して、介護等のサービスを提供することにより、精神障害者が住み慣れた家庭や地域社会で日常生活の維持・向上を支援する事業。《在宅福祉事業費補助金に一括計上》 イ 精神障害者短期入所(ショートステイ)事業  精神障害者の介護等を行う者が疾病等の理由により、当該障害者が居宅において介護等を受けることが一時的に困難な場合に、精神障害者生活訓練施設等において介護等のサービスを提供する事業。 ウ 精神障害者地域生活援助事業(グループホーム) 地域において共同生活を営む精神障害者に対し、世話人を配置し、食事の提供・服薬指導等の生活援助を行う事業。 (2) 精神障害者訪問介護指導者研修事業           14百万円 → 11百万円  平成14年度より実施される精神障害者居宅介護等事業を円滑に実施するため、サービス提供方法を実務的に習得する指導者研修事業を実施する。 (実施主体:精神障害者社会復帰促進センター) (3) 精神保健福祉センター特定相談等事業(運営費)    130百万円 → 134百万円 地域における精神保健福祉対策の総合的技術センターとして、精神保健及び精神障害者の福祉に関し、知識の普及及び相談指導等を行う事業。(59箇所 → 61箇所) (4) 精神障害者社会復帰促進センター事業          32百万円 → 32百万円  精神障害者社会復帰促進センターにおいて、精神障害者の社会復帰等に関する調査研究を行うとともに、家族や社会復帰施設等職員に対する研修を実施。 (5) 精神障害者手帳交付事業                11百万円 → 12百万円  精神障害者に対して、各種の援助措置等を受けやすくし、社会復帰の促進と自立と社会参加の促進を図ることを目的とする精神障害者保健福祉手帳を交付する事業。 (6) 「障害者の明るいくらし」促進事業、障害者生活訓練・コミュニケーション支援等事業及び市町村障害者社会参加促進事業(3障害メニュー事業) 5,021百万円 → 5,490百万円  障害者の社会参加を促進するために、障害者の権利擁護に係る相談等を行う「障害者110番」運営事業等のメニューの中から事業を選択して実施。 (7) 障害者ケアマネジメント体制整備推進事業(3障害事業) 556百万円 → 517百万円  複合的なニーズを有する障害者が適切なサービスを活用できるよう支援するケアマネジメントのあり方の検討、ケアマネージャーの養成及びケアマネジメントの試行を実施。 (8)こころの健康づくり対策事業             51百万円 → 52百万円 ア 思春期精神保健対策事業               33百万円 → 34百万円  思春期児童の相談体制の充実等を図るため、医師、PSW等を対象とした専門家の養成研修等を実施するとともに、思春期の心の問題の相談、処遇のあり方について、関係機関と連携し、ケースマネジメントに関するモデル事業を実施。 イ PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策事業      18百万円 → 18百万円  災害被災者等に対する心のケアの充実を図るため、PTSD(心的外傷後ストレス障害)専門家の養成研修等を実施。 (9)高次脳機能障害支援モデル事業             70百万円 → 80百万円  国立身体障害者リハビリテーションセンターを中心に地域の拠点病院(リハビリセンター)が協力して、症例を集積し、その臨床データや社会復帰支援の経験を踏まえた検討をもとに診断技術、リハビリプログラムの標準化及び社会復帰施設における高次脳機能障害にある者を受け入れる体制づくり、地域での支援システムの検討に関するモデル事業を実施。 4.雇用対策との連携 (1)障害者就業・生活支援センター(仮称)による就業・生活支援の一体的推進   32百万円 → 546百万円  障害者に対する就労面及び生活面での支援を充実するため、地域における保健福祉及び雇用機関の連携の拠点として、「障害者就業・生活支援センター(仮称)」を設置する。 (2)「施設外授産の活用による就職促進モデル事業」の実施  28百万円 → 28百万円 障害者が企業等の事業所において授産活動を行い、当該企業等との連携を深め、一般就労が可能な者及び一般就労を希望する者について、施設外授産終了後、企業等への就業を促進。 (3)「グループ就労を活用した精神障害者の雇用促進モデル事業」の実施 30百万円 → 27百万円  精神障害者の雇用を促進するため、精神障害者地域生活支援センターが事業所と契約を締結し、精神障害者をグループで就労させるモデル事業を実施。 (4)自殺防止対策の推進                 349百万円 → 566百万円 近年、社会問題化している自殺の増加を踏まえ、職場、地域における自殺の実態、原因、防止対策等について調査研究・検討を進めるとともに、自殺防止のための相談・啓発活動を強化。 5.研究の推進                      5,177百万円 → 5,617百万円  精神疾患の疫学調査、原因の究明及び治療法の開発等を対象とした精神・神経疾患研究、障害保健福祉総合研究等の推進。 6.その他 ○ 老人性痴呆疾患センター  老人性痴呆疾患患者等に対し、専門医療相談、鑑別診断、治療方針の選定、夜間や休日の救急対応、医療福祉サービスの情報提供等を図るための補助事業として、平成13年度予算まで計上してきたが、平成14年度より老人性痴呆指導対策事業として、介護予防・生活支援事業にメニュー化し、都道府県を実施主体として、適切な国庫補助制度の運用を図ることとした。 《老健局の介護予防・生活支援事業にメニュー化》 (参考) 精神障害者社会復帰施設の施設・設備整備の充実 13年度2次補正後(案)  14年度   ・精神障害者生活訓練施設(援護寮)           268 か所 →  300か所 独立して日常生活を営むことが困難な精神障害者に生活の場を与え,生活指導を行う施設。 ・精神障害者短期入所生活介護等(ショートステイ)施設      89か所 →  100か所 在宅における処遇が一時的に困難となった精神障害者を短期間入所させる施設。 ・精神障害者福祉ホーム                 272か所 →  300か所 一定の自活能力があり、住宅の確保が困難な精神障害者に生活の場を与え、生活指導を行う施設。 ・精神障害者(入所・通所)授産施設           367か所 →  400か所 相当程度の作業能力を有するものの、雇用されることが困難な精神障害者に訓練・指導を行う施設。 ・精神障害者福祉工場                   57か所 →  59か所 通常の事業所に雇用されることが困難な精神障害者を雇用し、社会生活への適応のために必要な指導を行う施設。 ・精神障害者地域生活支援センター            545か所 →  566か所 精神障害者に関する問題全般についての相談、助言、精神障害者福祉サービスの利用の助言、関係施設との連絡調整を行う施設。 ・精神障害者地域生活援助事業(グループホーム)       858か所 →  950か所 地域において共同生活を営む精神障害者に対し、世話人を配置し、食事の提供・服薬指導等の生活援助を行う事業。 ・精神障害者社会適応訓練事業(通院患者リハビリテーション) 3,141か所→3,300か所 回復途上にある精神障害者を事業所に通わせ、対人能力の涵養等の社会適応訓練を行う事業。